国家資格キャリアコンサルトの学科試験で、必ず出題される政府関係資料。
その中でも厚生労働省から公表される「労働経済の分析」からは毎回出題されますよね。
とはいえ「労働経済の分析」は毎回300ページ超の分量がある資料です。とてもじゃないけど
すべてを読んで頭に入れるなんて不可能です。
では、どんなところをポイントに資料を読んでいけばよいのでしょうか?
今回はそのポイントについてお話していきます。
まずは「分析テーマ」と「白書の主なポイント」をチェックすべき
「労働経済の分析」については、第27回(2024.11.3実施)試験からは2問
第26回(2024.7.7実施)試験からは3問出題されています。
これからもまず間違いなくこの「労働経済の分析」からの出題はあるでしょうから、受験者としては
しっかりチェックしておいて得点を稼ぎたいところですよね。
ただ、先述したとおり300ページを超える資料ですので、読むのは大変ですし、どの部分を
重点的にチェックすれば良いのか?は迷うところです。
ただ、これまでの出題傾向を見ると、チェックすべきポイントが見えてくるのです。
①「分析テーマ」とは?
では、「分析テーマ」とは何ぞや?というところから見ていきます。
「労働経済の分析」をWebで検索してみましょう。今回の第27回、前回の第26回試験で
出題された令和5年版を検索してみます。そうすると
「令和5年版 労働経済の分析」を公表します ー厚生労働省ー
が検索結果に出てきますから、それを開いてみましょう。
開いてみると表題の下にまず、「分析テーマ」が出てきます。
令和5年版ではこう書かれています。
~分析テーマは「持続的な賃上げに向けて」~
「今回の白書では、「持続的な賃上げに向けて」をテーマとして分析を行いました。第Ⅰ部では、2022年の雇用情勢や賃金、経済等の動きをまとめています。また、第Ⅱ部では、わが国の賃金がこの四半世紀において伸び悩んだ理由を明らかにするとともに、賃上げが個々の企業・労働者や経済全体に及ぼす好影響のほか、企業の業績や価格転嫁状況等と賃上げの関係等について分析しました。さらに、政策が賃金に及ぼす影響として、最低賃金制度と同一労働同一賃金の効果についても分析しています。」
まずここで、分析の意図が分かりますよね。いきなり300ページ超を読まなくても、令和5年版の
「労働経済の分析」では、どんな意図を持ってどんな調査が行われ、どんな分析がなされているのか?
を理解することができます。
②白書の主なポイントとは?
「分析テーマ」の下にあるのが「白書の主なポイント」です。
ぜひ、ここをチェックし、本文で語られている箇所を重点的に読むことで試験対策になるのです。
令和5年版ではこう書かれています。
白書の主なポイント
・1990年代後半以降わが国の一人あたり名目賃金が伸び悩んだのは、➀名目生産性が他国と比べて伸び悩み、➁パートタイム労働者の増加等により一人あたり労働時間が減少し、➂労働分配率が低下傾向にあったことが背景にある。・詳細に分析すると、企業の利益処分の変化、労使間の交渉力の変化、雇用者の構成変化、日本型雇用慣行の変容、労働者のニーズの多様化等が影響した可能性が考えられる。・賃上げは、企業にとっては、求人への応募を増やす、離職率を低下させる等の効果が、労働者にとっては、仕事の満足度を高める等の効果がある。また、経済全体では、消費や生産等を増加させる効果がある。・最低賃金の引上げは、最低賃金近傍だけではなく、賃金水準が中位に位置するパートタイム労働者にも効果が及ぶ可能性がある。また、同一労働同一賃金の施行は、正規と非正規雇用労働者の時給差を10%程度縮小させる等の効果があった可能性がある。
ポイント把握の後は、概要(要約版)をチェック
さて、各年版における「労働経済の分析」のポイントは分かりました。
でもそこからいきなり300ページ超の本文に行くのは、ちょっとハードルが高いと思います。
そこで、まずチェックしておきたいのは、概要(要約版)です。
これも、分析テーマと白書のポイントが記載されているページの下部にPDF形式で掲載されて
いますので、ポイントが把握できたらチェックしてください。
試験問題にどう反映されているか?
前項でご紹介した「令和5年版 労働経済の分析」の【白書の主なポイント】【概要(要約版)】が
キャリアコンサルタント学科試験の問題にどう反映されているか?見ていきましょう。
第27回(2024.11.3実施)試験 問20
つい先日行われた国家資格キャリアコンサルタントの学科試験 問20を見てみましょう。
問20 「令和5年版労働経済の分析」(厚生労働省)で述べられた、雇用・失業情勢の動向に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか
この問題の正答は、選択肢1の
ここ10年ほどにわたり、女性の15歳以上人口に占める正規雇用労働者の割合は、「25~34歳」、「35~44歳」で顕著に上昇している
でしたが、概要(要約版)4ページにこの正答のとおり記述されています。
第27回(2024.11.3実施)試験 問22
続いて、問22を見てみましょう。
問22「令和5年版労働経済の分析」(厚生労働省)で述べられた、賃金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか
名目賃金の推移に関することや、賃上げの効果について選択肢にありますが、そのまんま上記の
【白書の主なポイント】に結論が書いてあります。ですので、このポイント部分が本文上で詳細に
書かれている箇所を見つけてチェックしておけば、この問題はクリアできるわけです。
「労働経済の分析」は徐々に中身をチェックすれば良い
毎回のように出題される「労働経済の分析」は、最初から本文を読もうとすると、かなりハードルが
高く感じられると思います。ですので、下記の順序でより詳細にチェックしていくことをオススメします。
① 「分析テーマ」で我が国の労働や経済のどんな状況や問題が分析されているのか?を知る
↓
②「白書の主なポイント」で具体的な分析ポイントを知る
↓
③概要(要約版)で簡単に分析ポイントの概要を知る
↓
④必要があれば、概要(要約版)で記述されているところを肉付けする意味で、本文をチェックする
この順序で入っていければ、それほどハードルを感じないまま、詳細な情報を得られますし
出題されそうな箇所を的確にチェックできると思います。
ちなみに、次回第28回(2025.3.2実施予定)試験も主に上記の令和5年版から出題されると
思いますので、ぜひじっくりチェックしてみてください。
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